2040年を目途に、新宿駅とその周辺地域が劇的に変わります。乗降客数が世界一多い新宿駅ですが、駅の構内が非常に分かりにくく、東口から西口への通り抜けルートは東京在住のビジネスパーソンでも迷うほど。これは「エリア特集#18」で紹介した渋谷駅同様かねてよりの課題でした。そこで東京都、新宿区、各鉄道会社が協議を重ね、世界有数の交通結節点に相応しい新宿駅に造り替える「新宿グランドターミナル構想」が公表されました。
新宿グランドターミナルへの再編に向けたまちづくりの着手について(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/05/17/02.html
こうした大規模再開発の背景には、駅や街の利便性の向上はもとより、"都内最大"を誇ってきた商業地としてのポテンシャル(売上高)が、ここ近年は伸びがなく、大規模な駅前再開発が行われている渋谷などと比べて街の魅力が低下していることが大きな要因と考えられます。加えて、1970年代に都市化が急進した新宿駅周辺は、オフィス・商業ともにビルの老朽化が進んでいます。これらの課題を解決することが、新宿が目指す「世界基準のまち」の足掛かりとなるのは間違いないでしょう。
駅周辺再開発計画の公表に先駆けて、2017年にオープンした「バスタ新宿」は、国内300都市と新宿を結ぶ120ものバス会社が乗り入れています。JR新宿駅・新南改札から直結したビル4階に高速バス乗り場、3階には高速バス降り場とタクシー乗降場があり、国内最大のバスターミナルです。昨年のデータでは、1日の平均利用者数は約2万人で、これは成田国際空港の利用者に匹敵します。オープン当初はビジネスや観光などの国内需要が期待された施設でしたが、取材時の印象では、明らかにインバウンド需要に貢献しており、乗降客の半数近くは外国人観光客でした。