東京に次ぐ大都市圏・大阪市はいま、世界中から優れた人材や技術が集まる「イノベーション都市」の構築を目指して、市と民間事業者が一体となってさまざまな取り組みをおこなっています。中でも注目は「大阪最後の一等地」と言われる大阪駅北側エリアで進む大規模再開発「うめきたプロジェクト(第2期)」。先進技術を投入してスマートシティを具現化し、ビジネスや生活をより快適なものへと進化させます。さらに、2031年には関西国際空港まで直通する「なにわ筋線」が開業予定。このほか各ビジネスエリアで、未来につながるビジネスを創出して成長をピークに導く再開発事業が進む、大阪の今を紹介します。
旧大阪中央郵便局跡地を含む大阪駅西地区に建設された「JPタワー大阪」は、商業施設・オフィス・ホテル・劇場などからなる地上39階・地下3階の大型複合オフィスビル。商業施設「KITTE大阪」は、2024年7月の全面開業が予定されています。
オフィスフロアは先行して2023年11月1日から利用が開始されており、それに合わせて開通した歩行者デッキは、駅ビルの「大阪ステーションシティ・サウスゲートビルディング」の2階を経由してJR大阪駅と直結。屋根付きの歩行者デッキが設置されたことよって雨天でも濡れることなくアクセスすることが可能になりました。
事業主である日本郵便の『計画ビジョン』によれば、オフィスは11階から27階に位置しており、基準階のフロアは面積が約4,000㎡にも及ぶ「西日本の賃貸オフィスビルでは屈指の規模を誇るオフィス空間」であるとのこと。
また、オフィスワーカーが仕事の合間に寛げる屋上庭園や、リフレッシュのためのフィットネスルームやサウナなど、ウェルビーイングな働き方を後押しするヒューマンサポートが提供されるそうです。
うめきた(大阪駅北地区)プロジェクトは、JR大阪駅北側に放置されていた旧・梅田貨物駅跡地(約24ha)を、国際競争力の高い知的創造都市に生まれ変わらせることを目的とした大規模プロジェクトです。ここで現在、商業施設、オフィス、ホテル、都市公園などを有する「グラングリーン大阪」の整備工事が、今年秋の「まち開き」を目指して進められています。
グラングリーン大阪のエリア内には、JR大阪駅に直結した大規模複合オフィスビル「パークタワー」と「ゲートタワー」が建設されます(共に2024年11月竣工予定)。
パークタワーは1フロア約4,130㎡とJPタワーと並ぶ関西圏屈指の広大なオフィス空間により、多様な働き方に合わせたワークスペースを実現できるオフィスタワーとなります(高層部にはキャノピーbyヒルトン大阪梅田が入居)。
ゲートタワーは1フロア約1,580㎡の来店型ビジネスにも対応したオフィスタワー。カーボンニュートラルやSDGsへの取り組みも積極的で、サステナビリティに優れた次世代のワークスペースとして注目されています。
府内屈指のオフィス街である淀屋橋エリア。関西圏有数の金融街でもあり、大阪のビジネスをけん引するエリアといっても過言ではありません。
エリアの中心には、市内を南北に貫くメインストリートの御堂筋が縦断。最先端とレトロなオフィスビルが肩を並べる独特な魅力を持ったエリアです。そんな淀屋橋の玄関口(御堂筋線淀屋橋駅付近の東西の角地)に、デザインに統一性を持たせたツインタワー(オフィスビル)が建設されます。
駅東側の角地には、エリアで最高層となる高さ約150m・地上30階建ての「淀屋橋東プロジェクト(仮称)」が2025年5月に竣工予定のほか、淀屋橋駅コンコースの歩行者通路の拡幅工事なども同時稼働の予定です。
御堂筋を挟んだ駅西側には、高さ約135m・地上28階建ての高層オフィスビルが建設されます。東側のビル同様、2025年竣工予定です。
東西のツインタワーが完成すれば、淀屋橋周辺エリアのオフィスワーカーはもちろん、観光客の回遊性も高まりそうな気配。ビジネスに、観光に、ショッピングに、淀屋橋のさらなる活性化が期待できそうです。
心斎橋エリアの象徴ともいえる「大丸心斎橋本店本館」が建て替えを終えて2019年9月にリニューアルオープンしました。御堂筋側の外壁は長年市民に親しまれてきたシンボリックな外壁が保存されており、レトロな印象の街並みが残されています。
このエリアの再開発の目玉は、御堂筋と長堀通に面した心斎橋新橋交差点北東側でおこなわれている「心斎橋プロジェクト(仮称)」。この計画は、老朽化した心斎橋プラザビルと心斎橋フジビルを一体的に整備して、新たなランドマークとして大型複合オフィスビルを新設しようというもの(2026年2月竣工予定)。
事業主のJR西日本によれば、髙さ約132m・地上28階、地下2階。低層階にはハイブランドの店舗を誘致し、中層階にオフィス、高層階にはホテルが入居する大型複合オフィスビルとなり、8階のオフィスロビーは御堂筋を望む屋外テラスと接続し、オフィスワーカーに寛ぎを与える空間の構築を目指しているとのこと。また、地上約120mの最上階には、大阪の景色を一望できる ルーフトップバーの設置が計画されています。