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Vol.39 中央区(日本橋・八重洲・京橋)エリア

再開発で生まれる未来を彩る新たなシンボル

 江戸時代から商業や文化の中心地として栄えてきた中央区。近年は集中的な再開発と新築オフィスビルの建設により「日本一洗練されたビジネスエリア」へと変遷を遂げています。その交流起点となる東京駅には、JR各線と地下鉄丸の内線が乗り入れ(全13路線)、徒歩圏には日本橋駅、京橋駅などが所在。都内主要エリアへのアクセスも快適です。中央区は金融関連企業の集積地として知られていますが、昨今はその他の業種も幅広くオフィスを構えるようになりました。立地による企業のブランディング力も高く、大手企業はもちろん、ベンチャーにも人気の好立地です。ハイソな雰囲気やブランディングを意識する企業にとっては、中央区でオフィスを探すのは良い選択になるはずです。

1
ニーズに応じて進化し続ける街へ [日本橋エリア]

 歴史ある建築物(現役オフィス)を維持しつつ、現代的なビジネスエリアとしての機能を高めるために官民一体の大規模再開発プロジェクトがおこなわれている日本橋エリア。COREDO日本橋、日本橋高島屋S.C、日本橋三井タワーなどの新しいオフィスビルや商業施設が建設され地域全体の魅力が向上しました。

 これにより、「レトロで重厚感がありロンドンに似ている」といったオールドファッションなイメージを刷新。多くの先進企業がオフィスを構えるようになり、ビジネスエリアとしてのプレステージを一層高めています。また、新たに建設されたほとんどのオフィスビルには環境に配慮した設計が取り入れられ、AIを活用したエネルギーマネジメントシステムなど省エネ率の高いビルや緑地の整備が進められクリーンで持続可能な街づくりが進められています。

 日本橋エリアの再開発事業は段階的に進行しており、具体的な終了時期は明示されていません。地域のニーズに応じて柔軟に対応しながら持続可能かつ"進化し続けるまちづくり"を目指しています。
 現在は、2040年にかけておこなわれるシールドトンネル工事「首都高地下化事業」とともに、日本橋川周辺5地区(日本橋一丁目中地区/室町一丁目地区/日本橋一丁目1・2番地区/日本橋一丁目東地区/八重洲一丁目北地区)において大規模な再整備とオフィスビルや複合施設の建設に向けた再開発が進んでいます。

 中央区が策定した「日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョン」によれば、「周辺5地区が連携して、国際金融やその他の業務拠点、日本橋の水辺景観と歩行者ネットワークの整備など、日本橋川沿いのまちづくりに取り組む」としており、広域なエリアが最先端の都市機能を享受して、これまで以上に活気あるエリアに生まれ変わるはずです。今後も新しい再開発が続いていく日本橋エリアからしばらく目が離せません。

2
海外からも選ばれるオフィスビルを [八重洲エリア]

 東京駅西側の丸の内エリアとの比較において八重洲エリアの特長は、規模の大小を問わずさまざまな業種・職種の企業が集まるオフィス街であること。また、八重洲地下街や大丸東京店の存在感が大きく、飲食やショッピングもカジュアルに楽しめるオフィス街といった違いがあります。
 そうした一方、国際戦略総合特区制度のもと「アジアヘッドクォーター特区」にも指定されており、外国企業誘致の受け皿となる先端的なオフィスビル建設がおこなわれています。

 中でも大きな話題になったのが、2022年に開業した大型複合施設「東京ミッドタウン八重洲(八重洲セントラルタワー)」です。オフィス(7階〜38階)は東京駅周辺で最大級の基準階面積約4,000m²のフロアプレートを誇り、その他にレストランやカフェ、商業施設も充実。屋上テラスやカンファレンス施設もあり、理想的な職場環境で働くことができます。加えて地下には、日本最大級の「バスターミナル東京八重洲」を備えるなど、高い交通利便性でビジネスを快適にサポートします。
 また驚くのは、ビル自体の省エネ対策と電力の供給能力です。同水準のビルと比べて一次エネルギー消費量の収支を年間50%以上も削減し、あらゆる高効率熱源システムの導入により災害時にも東京ミッドタウン八重洲と八重洲地下街へ電力の供給をおこなうことができ、八重洲エリア全体の防災力向上に貢献します。
 また、八重洲ブックセンターが位置していたエリア(2023年3月で当エリアでの営業終了)では、現在、八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業が進捗中です。新しいビルは延床面積約390,000㎡、高さ約226mのオフィスを中心とした大規模複合ビルで、地下2階には約7,600㎡のバスターミナルを設置。隣接する東京ミッドタウン八重洲とも連携して巨大な地下バスターミナルが誕生します。
 また、地下1階のプロムナードは東京駅や京橋駅、2029年7月に竣工予定の北地区ビル「八重洲一丁目北地区市街地再開発事業」とも接続する予定で、八重洲はさらにアクティブなエリアになります。

3
日本一のランドマークへ [TOKYO TORCH街区]

 日本橋、八重洲、丸の内、大手町にぐるりと囲まれたエリア(千代田区大手町二丁目)では、現在、国際戦略総合特区に相応しい大規模再開発プロジェクト「大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業」が進んでいます。このプロジェクトは、ビジネスや商業の中心地としての機能をより一層強化することと高い象徴性を目指しており、3棟の超高層複合ビル(常盤橋タワー・Torch Tower・銭瓶町ビルディング)と変電所、広場から構成されます。
 その核となるのが、地上61階、延床面積約544,000㎡、高さ約390mの「Torch Tower」で、大阪「あべのハルカス」(高さ約300m)を超え、日本一高いビルとなります。竣工予定は2027年。低層階に商業施設、高層階にオフィスとホテルが入居し、屋上階には展望施設を設置。施設のグレードはもちろん「日本一高いビル」として、中央区だけではなく"東京のランドマーク"になることは間違いないでしょう。

4
ビジネスとアートが融合する [京橋エリア]

 京橋は江戸時代の頃から交通の要所であり「京へ上るために最初にわたる橋」であったことから名付けられた地名と言われています。現在の京橋エリアもJRや地下鉄が交差する交通の要所であることに変わりなく、京橋駅には東京メトロ銀座線が乗り入れており、新橋までは乗り換えなしで約3分、渋谷駅までは約17分。また、東京駅や銀座・有楽町などへのアクセスも良好で、多くの企業がオフィスを構える魅力的なビジネスエリアとなっています。
 昨今、京橋のランドマークとなりつつある東京スクエアガーデンをはじめ、京橋トラストタワーや京橋エドグランといった大規模複合施設の開業により、京橋はオフィスエリアとしてのみならず、お洒落なレストランやショッピング、そしてアートを求めて人が訪れる観光の拠点としても注目されています。

 2024年11月に竣工したTODAビル(TODA BUILDING)は、地上28階、地下3階、高さ約165mの超高層複合ビルで、オフィスフロアは8階から27階まで。ビル全体が環境に配慮した設計となっており、エネルギー効率と高い耐震性能(コアウォール免震構造)を備えた安全性の高いビルとして評価されています。さらにこのビルは「アートとビジネスが交錯する場所」をコンセプトに設計されており、1階から6階までは、ミュージアム、ホール、ギャラリー、ショップなどのアートフロアとなっており、芸術文化の発信拠点としても機能しています。
 また、将来的に京橋の更なる活性化の鍵になると目されているのが「京橋三丁目東地区再開発事業」です。地上35階、地下4階、高さ約180mの超高層複合ビルが建設され、オフィス、商業施設、ホテルのほか、京橋エリアのアート文化を支える施設が入居。2026年度に着工し2030年度の竣工が予定されています。

5
時代が変わっても変え過ぎない [八重洲地下街(ヤエチカ)]

 外堀通りから八重洲通りにかけて地下に広がる「八重洲地下街」は、飲食店、ファッション、生活雑貨など約180もの店舗が集まる都内最大規模の地下商店街です。銀座、日本橋、神田、有楽町各方面に20の出入口が設けられ、東京駅グランルーフ、グラントウキョウ・サウスタワー(ノースタワー)、八重洲口会館ビル、八重洲ダイビル、スターツ八重洲中央ビルなど約10のビルと接続しています。

 日常的にヤエチカを利用するのはビジネスパーソンが中心で、昔から「ここに来ればサラリーマンは、頭の先から足の先までなんでも揃うし、お腹も満たせる」と言われてきました。ところが昨今は観光化の波が押し寄せています。ヤエチカを運営する八重洲地下街株式会社によると、八重洲地下街が大切にしているのは「時代の変化には敏感でありつつも、あまり変え過ぎないこと」なのだとか。時代のニーズに応えながらも、決して洗練されすぎることなく66年もの間多くの人たちに親しまれてきたヤエチカは、今日もたくさんの人々で賑わっています。

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■記事公開日:2024/11/28 ■記事取材日: 2024/11/18・22・23 *記事内容は取材当日の情報です
▼構成=編集部 ▼文=編集部ライター・吉村高廣 ▼撮影=吉村高廣 ▼取材協力・参考=東京都商工会議所、八重洲地下街株式会社、日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョン21、川沿のまちづくり実現に向けたビジョンと方針、日本橋・東京駅前地区計画、京橋エリアの広域的な回遊性強化に資する都市基盤の整備

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