シリーズ清野裕司の談話室Vol.2 シリーズ清野裕司の談話室Vol.2

シリーズ清野裕司の談話室Vol.2

「骨太の方針」ってなに? ChatGPTに聞いてみた。

6月に入って、『女性版・骨太の方針』というものが政府の会議で決まりました。その中身はともかくとして、政治家がよく使う「骨太の方針」という言葉の意味がよくわかりません。いったい何が骨太なのか。単なる"方針"ではなく"骨太"であるためにはどのような要件を満たす必要があるのか。そして何より、その方針は我々の生活にどんな影響を及ぼすのか。言葉だけ聞いていると、なんとなく本質を射ているようでもあり、単なる修飾語のようにも思えます。そこで、今話題になっている生成AI、ChatGPTに軽い気持ちで聞いてみました。「骨太の方針の意味を教えて?」。

ChatGPTの回答

ChatGPTによると...「骨太の方針とは、政府が掲げる国家戦略の枠組みのことです。経済政策や社会保障制度、教育や地方創生など、幅広い分野にわたる施策や改革案を打ち出して、日本の将来の発展を目指す長期的な指針です。具体的には、経済成長の実現、少子高齢化に対応した社会制度の構築、国際社会での存在感の強化などが挙げられます。そしてそれらを、継続性や安定性を重視して戦略的に施策を展開していくことが求められます」とのことです。
いやはや、これではどうにも要領を得ない。そこで更に「それのどこが骨太なんですか?」と踏み込んで聞いてみました。
ChatGPTの回答はこうです...「骨太の語源は、骨太なもの(大地、山脈、川など)」を意味する言葉に由来します。この言葉が、政治的な方針や目標に対して、長期的な視野に立った、しっかりとした、堅牢な、などという意味で用いられるようになりました。つまり『骨太の方針』とは、長い目で見て、安定的な政策や社会システムのことを言います」と、まるで中学生が社会科の授業で学ぶような答えが返って来ました。

大切なのは考える力

それ以後、ChatGPTをしばらく使ってみて、私なりの気づきと確信を持ちました。世はまさに生成AIブームの渦中にあって、「今後ChatGPTが普及していくと、きっと人間は考えることをしなくなる」などと盛んに言われていますが、どうやらそんなことはなさそうです。むしろその逆で、ChatGPTを使いこなすために必要なものは"考える力"です。
実際にプロンプト(回答を生成するための質問)を入力する場合も、「骨太の方針の意味を教えて?」といった変哲のない問いかけに対しては、ChatGPTは当たり障りのない答えしか返して来ません。AIが溜め込んだ膨大な情報から自分の欲しい(或いはそれを越えた)回答を得るためには、利用者の「ほんとうにそれが知りたい」という熱量と、その気持ちに基づいたボキャブラリーが欠かせません。その上で自分の思考を巡らせて、どれだけ明解なプロンプトを書くことができるか。これが最も重要なポイントになるのだろうと私は思いました。

ChatGPTの上手な使い方

このコラムを書くにあたり、「ChatGPTの上手な使い方」について"ChatGPT本人"に尋ねてみたところ、かなり雄弁で正直なアドバイスが返ってきました。以下にその要約を記しておきます。

  • 1.要点を明確にして端的な質問をすると、より適切な回答を得ることができます。
  • 2.質問に関連した情報を提供すると、より正確な回答を生成します。また、前回の会話の内容を振り返って質問することで、より良い結果が得られます。
  • 3.質問の要点を明確にし、背景情報などを追加すると回答の品質が向上します。
  • 4.曖昧な回答の場合は、追加の質問をするか説明を求めることで、より具体的な回答を得ることができます。
  • 5.一度に大量の要求(質問)をすると、回答が混乱したり、結果が適切でなくなる可能性があります。情報を絞り込んで質問することで、より効果的な回答を得ることができます。
  • 6.ChatGPTは情報の正確性を保証するものではありません。重要な情報や意思決定に関しては他の信頼できる情報源で検証することをおすすめします。

賛否両論あるChatGPTですが、自分の思考を他からの刺激を受けながらブラッシュアップしていきたい時はとても良い"話し相手"になってくれると思っています。とはいえ今はまだ、生成AI黎明期。これから先、果たしてどのように進化していくのか。ちょっと気にして見ておこうと思います。

清野裕司のmarketing eye

ChatGPTを上手く使いこなすために一番大切なのは"考える力"です。

Yuji Seino
清野裕司


1947年生まれ。1970年慶應義塾大学商学部卒業マーケティングを専攻 。商社、メーカーにてマーケティングを担当し、1981年(株)マップスを創設。現在、同社の代表取締役。マーケティング戦略の立案、商品・店舗の開発支援、営業体制の整備、ブランド開発、スタッフ養成の研修まで、業種業界を超えたマーケティング・プランナーとして、2500種類のプロジェクト実績。

株式会社マップス ホームページ:http://www.mapscom.co.jp

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■記事公開日:2023/06/20
▼構成=編集部 ▼文=清野裕司 ▼画像素材=Adobe Stock

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