さて、ビジネス英語の世界にも、野球からきた独特の表現があります。今回はビジネスシーンでよく使われる、この野球由来の表現をご紹介します。
《野球由来① rain check》
Can I take a rain check?
別の機会にしてもいいですか?
"rain check"とは、野球の試合が雨などで順延になった時、別の日に試合観戦を振り替えできるチケットのこと。そこから転じて、何かのお誘いがあった時に「その日はダメだけど、別の日なら行けますよ」と伝えたいときに使われます。申し出を受け入れる気持ちがあることを示す、ポジティブな言葉です。Can I take a rain check?
別の機会にしてもいいですか?
《野球由来② a level playing field》
Our business should start in a level playing field.
ビジネスは、公平な競争条件のもとで始めるべきです。
"A level playing field"とは、誰もが勝てるチャンスが平等にある状況のこと。野球の勝ち負けが公正であるためには「水平な=level・野球場=playing field」が大前提であることから来ています。ビジネスでは、新規事業の市場参入などの際に、税金や規制などの競争条件を吟味する会話の中でよく出てきます。Our business should start in a level playing field.
ビジネスは、公平な競争条件のもとで始めるべきです。
《野球由来③ right off the bat》
She replied me right off the bat.
彼女は私にすぐに返事をしてくれましたよ。
バットに球が当たると、すぐにボールが飛んでいく――そんなシーンを思い浮かべてみてください。She replied me right off the bat.
彼女は私にすぐに返事をしてくれましたよ。
"right off the bat"は「すぐに」「即座に」という意味を表します。
「いつやるの?」という質問に、「今でしょ!」と返したいシチュエーションでは、ひと言ビシっと"Right off the bat!"と伝えましょう。
《野球由来④ touch base with+人名》
I will touch base with James on this matter.
その件でジェームスに連絡を取ってみます。
誰かに話をしたり連絡を取って、ざっくりと情報や意見を知りたい時に使われるのがI will touch base with James on this matter.
その件でジェームスに連絡を取ってみます。
"touch base with+人名"。これは、走者がベースにタッチしないと次の塁に進めないという野球のルールから来ています。最近頻繁に連絡を取っていなかった人にカジュアルに連絡を取る時にぴったりの言い回しです。
これらの、単語を組み合わせて慣用句として使われる表現は「イディオム」と呼ばれるもので、皆さんの中には受験でイディオムを必死で覚えたという方もいらっしゃるかもしれませんね。語源(言葉の成り立ち)を知ると、なぜこのような表現が生まれたかがより分かりやすくなります。この「語源を知る」は、「使える英語」の第一歩。中でも、野球由来のイディオムは、イメージしやすいビジネス英語です。