「みる場面」によって使う漢字が異なります。
一般的には、無意識にぼんやりみる時は「見る」、
明確な意図を持ってみる場合は「観る」と表現します。
同じように英語でも、車窓の景色をぼんやりみる場合は「See」、
上司の顔色を伺うような時は「Look」、
テレビなどを鑑賞する時は「Watch」といったように、
同じような意味合いでも、場面によって表現の仕方が異なる言葉があります。
そこで今回は、状況に応じて適切な使い分けが求められる
2つのパターンを紹介します。
パターン1 Realize/Notice
両方とも「気づく」を意味する言葉ですが、英語の場合は「どのように気づいたか」によって、使う言葉が変わります。どちらを使っても何となく意味は通じますが、ビジネス上の会話ではきちんと使い分けるほうがbetter。ニュアンスの違いと使い分け方を、例文を交えながら紹介します。
Realizeのニュアンスと使い方
Realizeは、じっくり考えた結果、何かに気づいたときや、不確かだったことが明らかになったときの「気づき」を表す言葉です。「自覚する、実感する、思い知る」くらいのニュアンスで捉えても良いでしょう。
また、Realizeには「実現する」という意味もあり、こちらの意味で使うケースも少なくありません。
I realized that I left my cell phone at home.
家にスマートフォンを置き忘れてきたことに気づきました。
※cell phone:欧米でsmart phoneは一般的な表現ではありません。家にスマートフォンを置き忘れてきたことに気づきました。
I didn't realize that preparing a presentation would be so difficult.
プレゼンテーションの準備がこんなに大変だとは思いませんでした。
プレゼンテーションの準備がこんなに大変だとは思いませんでした。
Shohei Ohtani realized his dream of playing in the major leagues.
大谷翔平はメジャーリーグで活躍する夢を実現しました。
大谷翔平はメジャーリーグで活躍する夢を実現しました。
Noticeのニュアンスと使い方
Realizeのようにじっくり考えた末の気づきではなく「見る、聞く、味わう」など五感のファクターを通じて感覚的・偶然的にもたらされる「気づき」を表す言葉です。また、Noticeを名詞として使うと「予告、警告、通知、掲示」といった意味に解釈されます。
I just noticed that the expiration date is today.
賞味期限が今日までだったことに気付きました。
賞味期限が今日までだったことに気付きました。
Please inform the station staff if you notice any suspicious unclaimed objects.
不審物を発見した場合は駅員にお知らせください。
※アメリカでも日本でも、空港や駅など人が集まる場所には同様のメッセージが掲げられています。不審物を発見した場合は駅員にお知らせください。
Product prices are subject to change without notice.
商品の価格は予告なしに変更されることがあります。
※be subject to(~の対象になる・~に従う)はビジネスシーンで頻出する表現です。商品の価格は予告なしに変更されることがあります。
パターン2 Claim/Complain
日本ではクレームという言葉を「苦情」という意味で使っています。しかしネイティブとの会話では通用しません。日本で言う「クレーム」と、英語の 「Claim」 とでは意味が異なります。英語で「苦情」を意味する表現はComplain。どちらも頻出単語ですが多くの日本人が勘違いしている言葉です。
Claimのニュアンスと使い方
Claim は、自分の権利や自論を「主張する、要求する」場合に使われる言葉で、「確証がなくても言い張る」というニュアンスを含んでいます。権利を主張する時は強い口調になります。こうしたことから日本では、「叫ぶ」が原義であるClaimが「苦情」という表現に置き換えられたと考えらます。
He claims he is not responsible.
彼は自分には責任がないと言い張っている。
彼は自分には責任がないと言い張っている。
New York newspaper claims Aaron Judge is MVP.
ニューヨークの新聞は、アーロン・ジャッジがMVPだと主張している。
※ニューヨーク「ニュースデイ紙」のエリック・ボーランド記者の主張。ニューヨークの新聞は、アーロン・ジャッジがMVPだと主張している。
I had an accident and filed a claim with the insurance company.
事故に遭ったので保険会社に請求した。
事故に遭ったので保険会社に請求した。
Complainのニュアンスと使い方
苦情を意味する表現は complainが適切です。動詞として使用される場合は「不満を言う、愚痴を言う、文句を言う、泣きごとを言う」などのほか「病状を訴える」といった意味でも使われます。また、単に「苦情」と言う場合は名詞のcomplaintとなります 。
Part of my job is receive customer complaints.
お客さまの苦情を聞くのも仕事のうちです。
※頻出表現!Part of my job=仕事のうち/receive a complaint=苦情を受けるお客さまの苦情を聞くのも仕事のうちです。
My wife is always complaining.
妻は不平ばかり言っている。
妻は不平ばかり言っている。
Can't complain.
まあまあだね。
※直訳すると「不満を言うほどじゃない」ということで、「まあまあだね」という意味に置き換えられます。まあまあだね。