詳しくは後述しますが、とかく日本人は、語頭か語尾に「please」をつければ丁寧でやわらかな表現になると考えがちです。しかし実際には、Pleaseの使い方を間違えると命令調になって相手に高飛車な印象を与えることがあるのです。
そこで今回は「気をつけたいPlease5選」を紹介します。
(✕)Sit down please.
(静かにしてくれませんか?)
多くの日本人が勘違いしている表現です。(静かにしてくれませんか?)
言葉のニュアンスとしては、先生が落ち着きのない生徒に向かって「着席しなさい!」と叱るような時に使うフレーズです。取引先に訪問して早々、こんなふうに来客応対されたらたまったものではありません。
オススメの表現
(〇)have a seat.
(お座りください)
(お座りください)
(◎)Please have a seat.
(静かにしてくれませんか?)
(静かにしてくれませんか?)
(✕)Please help me.
(助けてください)
職場で使うには大げさすぎる表現です。(助けてください)
協力を求めているにもかかわらず、どこかぶっきらぼうで「助けてよ!」と命令されている感じがします。相手は断る余地もなく、サポートを求める内容や状況によってはとても横柄に聞こえてしまう表現です。
オススメの表現
(◎)I wondered if you could help me.
(手伝ってもらえませんか?)
※I wondered if~(~してもらえませんか?)
(手伝ってもらえませんか?)
(△)Please call me back.
(かけなおしてください)
刺々しく感じる表現です。(かけなおしてください)
Pleaseが要望を強調して、イントネーションによっては「この人怒ってる?」と勘ぐってしまうほど強く感じます。折り返しの電話を丁寧にお願いするときは、Could you?かWould you?を使いましょう。
オススメの表現
(◎)Could you call me back later?
(後ほど、電話をかけなおしていただけますでしょうか?)
(後ほど、電話をかけなおしていただけますでしょうか?)
(✕)Please be quiet?
(静かにして)
目上の人には絶対NGの表現です。(静かにして)
前回のコラムでも紹介しましたが、「静かにして欲しい」の表現は多々あります。とくにquietという言葉は強い意味を持っているため、pleaseをつけると苛立ちの気持ちを強調することになってしまいます。
オススメの表現
(◎)Could you keep it down?
(静かにしてください)
(静かにしてください)
(△)Please send me a reply.
(返事をください)
状況次第では使用も可の表現です。(返事をください)
メールでのやり取り時はあまり気にならない表現ですが、会話になると高飛車な印象が否めません。なかなか返って来ない返事や返信に対して、Pleaseが「早くしてよ!」と催促のニュアンスを増幅します。
オススメの表現
(◎)Could you send me a reply?
(お返事いただけますか?)
※Could you〜?を使う場合は、文末や動詞の前にpleaseを付けると逆に丁寧な言い回しになります。(お返事いただけますか?)
Advice
仕事は「頼み事」の連続です。周囲の人たちに頼んだり頼まれたりすることで成立します。だからこそ上手に頼むことが大事なのです。その最善策が友好的な笑顔で「please!」と語りかけること。そんなふうに考えている人が少なくありません。今回取り上げた「気をつけたいPlease5選」は文法的に間違っているわけではありません。ただし、上手な表現(頼み方)でもありません。笑顔で「please!」と語りかけるより、英語のニュアンスを正しく理解して、上手に頼めるようになる方が仕事は上手く運ぶと思います。