この「支持する」という言葉は、シーンや相手に対する熱量の違いによって使い分けるべきだと思います。例えば、支援相手の出世次第で自分の立場も変わるような利害関係にある場合の「支持」と、面識すらないけれど熱狂的なファンとして応援したいという気持ちの「支持」とでは、表現の仕方が異なります。大括りですが、その違いを分けるキーワードがstand byとsupportを使った表現です。今回はその違いを中心にLessonしてみたいと思います。
■stand byの解釈
主に利害関係者を支持する場合に使われます。
I stand by Fumio Kishida.
私は岸田文雄を支持している。
支持する人も関係者として関わっている場合はstand byが適切です。私は岸田文雄を支持している。
総裁選には投票できないテレビの前の国民の場合はsupportが相応しいでしょう。
河野さんを担いだ小泉さんの立場なら:I stand by Taro Kono.
河野さんを熱烈に応援する国民の場合:I support Taro Kono.
■stand forの解釈
理念や主義などを支持する場合に使われます。
I stand for the Constitutional Democratic Party consumption tax cut.
私は立憲民主党の消費税引き下げを支持している。
stand byが「個人」を支持する表現であるのに対して、私は立憲民主党の消費税引き下げを支持している。
stand forは「組織や団体が主張する理念や主義」を支持するのに相応しい表現です。
※Constitutional Democratic Party=立憲民主党
■stand up forの解釈
「人を支える」のではなく「自力で立つ」というニュアンスが強くなります。
Young lawmakers must stand up for political rejuvenation.
政治の若返りのために、若手議員が立ち上がらなければならない。
stand upは「座った状態から立ち上がる」という意味が一般的ですが、政治の若返りのために、若手議員が立ち上がらなければならない。
例文のようにさらに広義に解釈されるケースもあります。
※political rejuvenation=政治の若返り
■Supportの解釈
supportは行動を伴った「支持」だけでなく、「応援、賛成」する場合も使われます。
I would like to ask Prime Minister Kishida for a support speech.
岸田総理に応援演説をお願いしたい。
※Prime Minister=首相(総理大臣)岸田総理に応援演説をお願いしたい。
We succeeded in gaining support for the new reform plan.
新しい改革案で、支持を獲得することに成功した。
new reform plan(新しい改革案)を言い換えれば、ビジネスでも活用できる表現です。新しい改革案で、支持を獲得することに成功した。
In Anaheim, most people support Shohei Ohtani.
アナハイムでは、ほとんどの人が大谷翔平選手を応援している。
スポーツシーンなどでは、supportがよく使われます。アナハイムでは、ほとんどの人が大谷翔平選手を応援している。
ファンである、応援している、見守っているといったニュアンスが強くなります。
Point
実際には、stand by、stand for、Supportの3つは、明確な線引きがあるわけではありません。今回紹介した事例についても、各々が入れ替わったとしても間違いを指摘されることはないでしょう。
しかし、stand byとSupportのニュアンスを比較すると、明らかにSupportの方が能動的かつ情熱的な印象が否めません。例えば、アナハイムの市民が大谷選手に寄せる熱い思いは、とてもIn Anaheim, most people stand by Shohei Ohtani.で表現できるものではありません。逆に、戦略的に岸田さんを担いだ甘利さんがI Support Fumio Kishida.と言ったなら、「それはちょっといかがなものか」と思います。使い分けのポイントは、「支持する相手に対して熱量が大きい場合はSupportを使う」という点です。