時事考論 時事考論

時事考論

3月4日の東京株式市場は日経平均株価が史上初の4万円の大台に乗せて終了しました。この直後に大手証券会社のファウンダーが次のようにコメントしています。「4万円は当たり前の通過点。日本の株価はこれから波を伴いながらも緩やかに上昇を続けるだろう。企業や経営者たちの変化を続ける意欲が継続していれば5万円を目指しても不思議はない」。 投資家たちは「いよいよ日本株新時代の夜明けだ!」などと色めきだっています。
とはいえ現在の株価高騰は、近年注目を浴びている半導体関連企業や輸出が好調なグローバル企業が稼ぐ海外マネーが反映されたもので、内需が株価を押し上げて賃金が上昇しているわけではありません。つまり、実体経済とはほぼ無関係で「株式投資の傍観者」でいる限りその恩恵は得られにくいのです。
33年ぶりの株価高騰に加えて、大手企業の相次ぐベースアップといった好材料が揃ったことで、日本銀行はついに「マイナス金利政策」の解除を決定しました。日銀新総裁は記者会見で「景気は緩やかに回復している」として"段階的な金利引き上げ"を示唆。日本の金融政策を正常化に向けて大きく舵を切りました。そして、これまで眠っていたジャパンマネーが動き出し(銀行融資の促進、需要喚起、インフレ等)経済を活性化させることを目指しています。
しかし、金利が上がれば融資を受ける企業やローンを組む個人はこれまで以上の負担を強いられることになります。結果、賃金を上げようにも上げる余力がない中小企業やその社員にとっては「不安要素の方が大きい」というのが実情です。さらに、私たちの生活の将来にも不安材料があります。増税や社会保険料の値上げ、エネルギー価格の高騰や円安による物価高などで家計はますます厳しくなるかも知れません。
そう考えると、今後私たちは国や会社に頼り切るのではなく、一人ひとりが「株式投資の当事者」となり、資産形成とその運用によって安定と安心を確保する「自助努力」が必要になっていくのかも知れません。
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■記事公開日:2024/04/30
▼構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼写真=Adobe Stock

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