家庭環境と家族関係の変化に注意!
リモート会議を必要とする職場ですと、パソコン操作が苦手な中高年の方は、専用アプリケーションの設定やその使い方といった段階から困窮する方が少なくありません。ただ、こうしたハード面での躓きは導入初期だけのことで慣れと共に解消されてゆきます。むしろ大きなストレスになるのは、自宅を職場にすることで起こる"家庭環境と家族関係の変化"です。
たとえば、リモート会議をする場合はカメラの向き次第で生活圏の一部が丸見えになってしまいます。ノートパソコンなら簡単に移動できますが、家族共有のデスクトップパソコンがリビングに鎮座している場合はそう簡単にいきません。どこに置いても背景の映り込みが気になって、パソコンの置き場所がなかなか決まらない。あれこれ悩んだ挙句、仕方なくリビングの模様替えからやり直したご家庭もあるほどです。
テレワークの落とし穴はここだ!
日ごろカウンセリングをおこなう中で私が実感しているのは「雑談が少ない職場ほどメンタルの不調者が多い」ということです。仕事の性質もあるでしょうが、タイピングの音だけが響く静まり返ったオフィスや、目と鼻の先にいる同僚にもchatで連絡事項を伝えるような職場は、明らかにメンタル不調の社員が増える傾向にあります。つまり、ちょっとした日常会話の有無が、実は心のセルフコントロールに大事な役割を担っているのです。
在宅ルーティンでマインドセット
メンタル不調の落とし穴を回避する1つの手段は「在宅ルーティン」を決めることです。新しい生活リズムに慣れるまでは、アタマもカラダも軽度の"時差ボケ"状態にあるため、なかなか「仕事モード」に切り替えることができません。こうした状態に一度慣れてしまうと脱出するのに時間がかかったり、最悪の場合は抜け出せなくなってしまいます。これを回避するには、1日のルーティンをつくりそれを実践する努力が必要です。
管理者がフォローすべきこととは
テレワークを実施している会社では、日課報告をメールでやり取りされるケースも多いようです。ただ、メールでは事務的なやり取りはできても、リアルタイムに相手の気持ちを慮ることは困難です。実はここが思いのほか大事なポイントになります。先述した「雑談」がまさしくそれで、仕事に関係した話題だけではなく、雑談をすることで人と人とは心の距離が縮まります。「調子はどう?」といった軽いやり取りだけでも、会話を持てることでメンタルヘルスは保たれます。そこで、1日に1回時間を決めて、管理者の方から部下に電話を入れてたわいもない世間話をする。こうした働きかけが部下を孤独にさせずにテレワークを上手く進める管理者の大事な役割になります。
もちろん電話だけでも良いのですが、今回の自粛をきっかけにSkypeやZoomなどのオンラインツールを導入してリモート会議を実践したり、在宅社員の管理ツールとして活用している企業も少なくないようです。そうした部分にいち早く着手できるか否かは会社の柔軟性を示す客観的な指標にもなると思います。