コロナブルーに陥りやすい人のタイプは?
責任感が強くて几帳面、真面目な方がなりやすいと思います。そうした方ほど仕事には安定感があるものの、反面「こうあるべき」という思いが強すぎて融通が利かないところもあり、極端な環境変化に適応できずストレスがかかりやすい傾向があります。したがって、コロナのような状況下では、どう対処していいか分からず、気持ちが不安定になっている方が少なくありません。自分のやり方やルーティーンのようなものをもっている方は、それが崩れてしまうことによる不安感や焦燥感が色濃く表れます。
負の感情に陥りやすいのはどんなとき?
人との接触が極端に減っているときです。前回のテーマでもお話ししましたが、人はどんなに小さなことでも「話すこと」によって自分の気持ちをある程度整理できます。ところが自粛期間が長引くと、人と接触する回数や時間が大幅に減り会話も少なくなります。また、自粛解除後に対面する機会が増えても、マスクやソーシャルディスタンスが求められる今は、会話は最小限で終わらせようとか、なるべく人には話しかけないようにしようという雰囲気があって、自分の気落ちを人と共有するゆとりがありません。こうした状況が続けば、気持ちはどんどんネガティブな方向に傾いてゆきます。
負のココロのリハビリ対策はありますか?
不調のファクター(因子)が、人との接点が薄れて会話が少なくなったことにあるわけですから、まずは人と話す機会を増やすことです。こんなご時世ですからもちろん電話やオンラインで構いません。肝心なのは"話すこと"で、雑談程度の内容でもいいので、自分の気持ちや出来事をアウトプットできることが大事です。
この場合、家族のように気の置けない顔ぶれとだけでなく、会社の同僚や仕事関係のブレーンなど、日ごろは利害が絡む相手とも会話を持てるとより効果的なリハビリになるはずです。また、軽い運動をするとセロトニン(幸せホルモン)の生成が促進されるため、これを機に、散歩やウォーキングなどを習慣にすることもお勧めできます。
わけもなく不安になるのはどうして?
コロナの問題はいくら考えてもどうにもなりません。つまり私たちは、自分の力ではコントロールできないものと対峙して、それに対して不安を感じたり、葛藤したりしているわけです。でも実はこうした状況は、コロナに限ったことではないのです。
メンタルヘルスの障害の1つに「予期不安」というものがあります。例えば、電車に乗ってお腹が痛くなったとしましょう。すると「また痛くなったらどうしよう...」と不安がよぎり、電車に乗るたびにお腹に意識が向くようになり、本来痛くもないはずなのに痛さを感じるようになってしまいます。それを気にすればするほど意識はさらにお腹に向き敏感になってゆく。皆さんもそんな経験はありませんか?実はコロナブルーに陥るトリガーもこうした思考にあると考えられます。
ウィズコロナを乗り切る対処方法は?
この先、第二波、三波が押し寄せれば、間違いなく再び自粛生活に逆戻りすることでしょう。それを乗り切る対策は"コントロールできることに意識を向ける"ことが最良の手立てだと思います。具体的には、いままで「やってみたいな」と思っていたことにチャレンジしてみると良いでしょう。語学や資格の勉強を始めてみたり、本屋大賞に選ばれた小説を第一回受賞作から片っ端に読んでみるのもいいでしょう。あるいは、料理のレパートリーを増やしたりYouTubeの投稿を始めてみたり。なんでもいいので興味があることにチャレンジしてみるといいと思います。要は、自分の努力次第で進歩や上達、成果が変わるものに意識を向けて、それに取り組んでみることです。
会社はどんなサポートをするべきでしょうか?
コロナブルーで会社に行けなくなってしまう。こうした方は今後増えてゆく一方で、その対策については会社のほうでも慎重に考えなくてはなりません。一般的な抑うつ状態の方が職場復帰するときには「復職支援プログラム」でサポートするケースがほとんどです。プログラムの内容は会社によってそれぞれですが、要は「リハビリ期間を設けましょう」というのがプログラムのコンセプトで、それと同じようなものがコロナでも求められることになるでしょう。