テレワークで感じる疎外感と疑心暗鬼
少し前に、「自粛生活も我慢の限界」とばかりに、公園や路上で"外飲み"する人たちを問題視する報道がありました。しかしそれは、マスコミが意図的にクローズアップしたごく一部の現象で、多くの人たちはストレスを抱えながらも不要不急の外出を控え、テレワークに取り組んでいます。こうした中、2度目の緊急事態宣言が発令されてから、メンタル不調を訴える人が急増しています。
SNSの「いいね」は承認の代替えになるか
ところが今は、承認欲求が満たされにくい環境にあります。そうした毎日が続けば、何らかのカタチで客観評価が欲しくなるのは当然で、いま、そのバランスをとる指標になっているのがSNSの「いいね」です。コロナ禍で料理のコミュニティサイトに写真をアップする人が急増したというのも、まさしくその裏付けと言えるでしょう。
間接承認をマネジメントに活かす
承認の仕方には"直接承認"と"間接承認"の2つがあり、承認効果にも違いがあります。例えば、企画会議であなたがおこなったプレゼンテーションの評判が良かったとしましょう。上司が「説得力があったよ」と褒めてくれれば、当然ながら嬉しく思いますしモチベーションも上がります。一方、上司から「キミのプレゼンには皆が感心していたよ」と言われたらどうでしょう。上司から直接褒められるより高い満足感(承認効果)が得られるはずです。
これは単純に、1人から褒められるのと複数から褒められるのとでは"承認に対する力量が違う"ということが挙げられます。さらに、悪い噂は耳に入りやすいけれど、良い噂はそうそう伝わってこないという社会的機能が関係しています。そこをあえて伝えてくれるというのは、当事者にしてみれば「組織の中で自分の価値を認めてくれた」と強く実感できると思いますし、自分の知らないところで、自分のことが話題に上がり、そこで「いい情報が共有された」というイメージを持つことができ、より一層、承認欲求が満たされるわけです。
承認と迎合を混同してはいけない
最近は、子育てしかり、社員教育しかり"褒めながら育てること"が善しとされる傾向にあります。しかし私は、指導や指示は厳しくあって可だと思っています。「ウチのやり方を覚えてもらう」というのは組織の中では当たり前のことです。仕事ですから、「苦手なんです」とか「不得意なので」ということで済まされる問題ではありません。あえて言葉を選ばず言うなら、「やれよ」という話です。「承認」は迎合することとは違います。その人の頑張る姿や、努力した成果を認めるのが承認であって、ぜんぜんできていないのに「気にしなくていいよ」と甘い顔をすることが承認だと勘違いしてはいけません。何でもお膳立てされていると、自主性を削いでしまいますし、それに慣れてしまうと、自分でやったことを上司から指摘・修正されたりすると、「だったら先に言ってくれよ」という指示待ち人間になってしまう。手取り足取り教えるのは決して良いことではないのです。
承認欲求を満たす管理職の横連携
ほとんどの管理職の皆さんはコロナ禍になる前から強い承認欲求を持っています。メンタルヘルス研修などを受けて、部下の"心の陰り"のようなものを察知して、それに対処する方法はたくさん学ぶけれど、「自分たちのストレスマネジメントはどうしたらいいんだよ」と不満をもらす人が少なくありません。つまり、若い人たちのケアをしようという企業は増えていますが、チームを率いるリーダーたちにはなかなか手が差し伸べられていないというのが現実です。