一次感情にフォーカスして怒りの正体を知る
喜怒哀楽の中でも「怒り」は特殊な感情です。怒りは二次感情と言われ、最初に感じるのは怒り以外の感情です。怒りのもとになる一次感情には、「不安」「辛い」「寂しい」「痛い」「困る」「嫌い」「悲しい」「心配」など、さまざまなネガティブ感情があって、これらが怒りに変異してゆくのです。
例えば、大切な商談に向かう途中で電車が止まってしまったとしたら、まず芽生えるのは「困る」という感情だと思います。その状態がしばらく続くと、「いつまで動かないんだ!」といった感情に変化したり、あるいは、行列に並んでいて割り込まれれば、「不愉快さ」を感じ、それが次第に「何なのこの人?」という腹立たしさに変わることもあるでしょう。
怒りの感情はうやむやにせず考え尽くす
人の言動や行動に対して、腹立たしく思ったり、傷ついたりすることは誰にでもあることです。しかしながら、いちいちそれに真正面から向き合っていてはメンタルが疲弊してしまいます。しかし、事と次第によっては腹の虫がおさまらず、一日中モヤモヤして仕事が手に付かなかったり、眠れなくなるほど考えてしまうようなこともあるでしょう。普通はそうした状況になると、「考えないようにして、早く忘れてしまおう」と自分に言い聞かせる方が多いのではないでしょうか。実は、メンタルヘルスの観点からすると、それは不毛な努力です。
"怒り心頭"で我を忘れた人は大迷惑
どれだけ腹が立ったとしても、モノの言い方にはマナーがあります。特にビジネスシーンでは心したいことで、感情を露わにして大声で怒鳴ったり、乱暴な言葉遣いで相手に迫ったり、社会人らしからぬ態度を見せてしまうと、「ああ、この人は社会性が身についていない人なんだな」という烙印を押されてしまうことになり兼ねません。感情的になって大きな声を上げれば、その場で相手を威圧することはできるかもしれませんが、トータルで見ると非常に損です。
怒りを感じたら相手との距離を置く
怒りを感じた時に感情をコントロールする手法として、よくアンガーマネジメントが挙げられます。アンガーマネジメントでは、「カチン!」ときたら"6秒数える"ことが怒りを鎮める効果的な方法だと説いています。しかしアンガーマネジメントは、1970年代のアメリカで問題視されていたDV(家庭内暴力)や軽犯罪者の矯正のためにつくられた心理教育プログラムです。先に手が出てしまうことを防止する目的があり、それを日本のビジネスシーンに置き換えて応用するのは些か無理があると私は思っています。
モンスタークライアントの対処方法
モンスターたちには共感対応してはいけません。前述したように、相手が我を忘れるくらい怒っている場合は、ペーシングしないことが鉄則です。つまり、必要以上にへりくだった態度を見せたり、反論したりするのは火に油を注ぐようなもの。あくまでも淡々と接するべきです。そうした対応をしていると、「お前なに冷静にしているんだよ!」と言われるかも知れませんが、そうした言葉には関知せず、こちらのペースを保つことが大切です。