お客さま先での打ち合わせ時のこと。ランチブレイクとなり、エレベーターホールに行くとそこはまるでラッシュ時のホームのような混雑ぶり。さすがに12階のオフィスフロアから地下1階の飲食店フロアまで階段を降りる気にはなれません。3基あるエレベーターを2度見送ってようやく乗ったものの、中はまさしく満員電車。大幅に時間をロスして地下1階の飲食店フロアにたどり着くも、今度は店先に長い行列が出来ています。外に出て店を探す余裕も気力もなく、仕方なくコンビニでサンドウィッチを買ってミーティングルームに引き返したわけです。そこで実感しました。ああ、これが"ランチ難民"ってやつかと。
東京都のランチ難民は2016年頃から増え始めました。理由は、食中毒の流行を防ぐために路上販売の衛生管理基準を「届出制」から「許可制」に変更したことが拍車をかけたと言われています。このことでオフィス街からフードトラックが姿を消し、都心のランチ事情が変わりました。一方、変わらないのが各社足並みを揃える12時から13時までのランチタイムです。近年、品揃えの充実が目覚ましいコンビニですが、毎日コンビニ弁当ではさすがに味気なく、午後からの仕事に向けてモチベーションの維持は困難です。
働き方改革が叫ばれる中"型にとらわれないワークスタイル"が注目され、フレックスタイムを導入する企業が増えています。にもかかわらず、ランチタイムは外資系も含むほとんどの企業が12時から13時に定められているのです。これほど不合理なことはありません。この時間帯を、仮に11時から14時までのフレックスタイム制にする企業が増えてゆけば、高層のオフィスビルでもエレベーターの混雑は緩和されるでしょうし、昼時の飲食店で行列をつくることもなくなり、空腹を抱えて巷をさまよう"ランチ難民"も減ってゆくはず。ランチタイムの充実も、立派な働き方改革だと思うのですが、いかがでしょう?
■記事公開日:2020/01/30
▼構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼画像素材=Adobe