ひと頃、ビジネス関連の研修や勉強会に参加すると「PDCAサイクル」の実施が推奨される時期がありました。「PDCA」とは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つの言葉の頭文字から成る造語で、1950年代にアメリカの経営手法として日本に紹介されました。
その後は、生産・製造、品質管理などの現場で実践され、トヨタ自動車に代表される"終わりなき改善"が定着。「品質世界一」を誇る日本製品のボトムを支えるフレームワークとして、また、あらゆるビジネス領域で質の高い仕事をするためのマネジメントサイクルとして大いに重宝されていました。ところが2000年あたりを境としてPDCAサイクルは鳴りを潜め、現在は「時代遅れのビジネスメソッド」などと言われています。
結論から言うなら、フレームワークやマネジメントサイクルを有効に活用するためには、どのメソッドを選んでみても、目標達成までには「それなりに時間がかかる」と考えるべきです。確かに、取っつき易いPDRサイクルの方が、「比較的簡単に改善を重ねてゆける」という点では、今のビジネス環境にフィットしているように思えます。しかしながら、会社の躍進や個人の昇進を左右するような「失敗できないビジネス」を立ち上げる場合は、無計画に動く人はいません。そこではやはりPDCAのロジックに則り時間をかけてサイクルを回すべきでしょう。かたや、「失敗できない」サバイバルな事業ではなく、「失敗を繰り返せるビジネス」においては、PDRのロジックで高速でサイクルを回す方が、発見が多いように思います。
PDCAサイクルは困難を伴う目標に対してこそ効果があります。身近なコトに例えれば「ダイエット」です。
①ダイエットのために毎日1時間のウォーキングを計画する。
②計画を実行する。
③定期的に体重計に乗り経過を観察する。
④体重が減らない理由を考え計画を改善する。
このサイクルを辛抱強く実行していれば必ず効果は表れます。また、PDCAサイクルを回してゆくことによって、プランニングのし方や、計画を成功に導くノウハウが蓄積されてゆきます。さらに、的確なチェックが出来るようになり、正しく原因分析がおこなえるようにもなります。最終的にサイクルを効率的に回せるようになれば、成果を出しやすくもなります。仕事でも同じことが言えます。一筋縄ではいかない案件に対してPDCAサイクルを回して改善を重ねることは、個人のキャリアアップを考えても、メリットの大きい取り組みだと思います。