反社会勢力との関りを発端に大きく揺れた芸能界。そのきっかけをつくったのは、あるお笑い芸人の"黒い人脈"でした。その芸人はあらゆる業界に顔が利き、それを利用して上下関係の厳しい芸能界にあって独自の地位を築き、大いに稼いでもいたそうです。結果的には、その人脈の使い方を間違えて芸能界から退場を余儀なくされたわけですが、4000人とも5000人とも言われる顔の広さにはただ驚くばかりです。
ビジネスパーソンも幅広い人脈があれば仕事を進める上で大きなアドバンテージになります。人脈を増やすこと自体に価値があるわけではありませんが、あらゆる仕事に「協働」が求められる昨今は、異なるスキルやセンスを上手に活用できれば、自分の専門性を活かしたり、アイディアを具現化する機会をより多く得ることができます。ビジネスで成功している人は例外なく人脈づくりにも長けていて、多彩なパイプをフル活用して金脈を掘り当てているものです。
人から紹介してもらったり、異業種交流会やネットワークパーティーなどに参加してみたり、SNSで業界や職種・趣味など話題が共有できそうな人を見つけて直接コンタクトしてみるなど、人脈づくりにはさまざまな方法があります。わずか1年間でも、こうした働きかけを積極的に続けていれば、多様な肩書の人と出会えるはずです。このときにしっかり考えていただきたいのが、「親しくなる目的」と「出会った相手との付き合い方」です。
無目的にいろんな人と出会ってもただ名刺が増えていくだけで、その名刺を見ても顔が思い出せないなんてことも...。これではキャリアアップにつながる人脈づくりはできません。ビジネスにおける人脈の価値は、お互いの利害関係と信頼関係によって育まれます。そのためには、上っ面だけの付き合いではなく、相手にとって自分がどんな存在になれるかをも考えて、互いに強みを与え合いながら、ビジネスパートナーとしての関係を深めてゆくことが肝心。これが"人脈を金脈"に変える第一歩です。
どのような間柄であっても「人間関係はWin-Winであること」が基本です。ビジネスシーンの付き合いなら尚のことで、どちらか一方だけにメリットがあるような関係は、仮に成立したとしてもいずれバランスが崩れて軋轢を生むことになります。なぜなら、あなたが「人脈の一人」と思っている相手は、同じようにあなたを見ているからです。だからこそ、力を貸してもらうことばかりを考えるのではなく、相手の力になれることを示し、依頼を受けたら全力で取り組み、あなた自信が相手にとっての「価値ある人脈のひとり」であり続けなくてはなりません。そして、このような双方向的な関係をどれだけ多く築けるかが、幅広い人脈づくりをおこなう上での最も大事なポイントになります。
ビジネスマーケティングに関連した仕事をしている兼ね合いで、異業種交流会へのお誘いをいただきます。参加したこともありますが、これまで縁を繋いでいる方は一人もいません。そもそも「お付き合い参加」ですので他人事なのです。そうした視点で観察すると、参加者は2つのタイプに分かれます。1つは積極的に話しかける「ギラギラタイプ」。もう1つが話しかけられるまで待っている「むっつりタイプ」。前者はいささか腰の軽い印象ですが、交流会のような場では、後者よりも得るものは大きいように思います。人と出会うチャンスはそうそうあるものではありません。同じ目的で集まっているのなら、気取っていないで多くの人と話す機会を持ち、互いの利害を見極めることが大事。人付き合いはそこから先の問題です。