若手のための“自己キャリア”

#22 催促メールの送り方

角を立てずに催促する キャリアアップの重要スキル

打ち合わせ日時の打診や委託した仕事の進捗などを問い合わせてもなかなか返事が返って来ない。こうした状況は仕事に悪影響を及ぼすだけでなく、精神的にもイライラが募りストレスになります。しかし、そこで感情的になって催促メールを送ってしまうと、高圧的な印象を相手に与えて心証を害することになり兼ねません。
相手を嫌な気持ちにさせずに、穏便に仕事を進める方法を知ることはキャリアアップするためにもとても重要なスキルです。そこで今回は、相手を不快にさせない催促メールの送り方を紹介します。
まず催促メールを送る前に、本当に相手から連絡が届いていないかを確認してください。パソコンやスマホの受信トレイはもちろん、迷惑フォルダやゴミ箱なども必ずチェック。時として、「こんなところに振り分けられていたのか!」ということがあります。また、相手に送ったメール内容を再確認することも大事です。こちらの方が誤って期日を指定して依頼メールを送っているかもしれませんし、相手が誤認するような表記をしている可能性もあります。

よくありがちな"誤認を招く表記"が「〇月の中旬頃までにお願いします」というもの。中旬とは月の10日から20日までのことを指すため、人によって"中旬"の定義が10日間も異なります。したがって、よほどスケジュールに余裕がない限りこうした曖昧な表記はNG。「〇月〇日の午前中までにご連絡をお願い致します」など、期日を明確にして打診をするべきです。期日が曖昧な依頼メールは誤解と不信感を生む原因にもなるので要注意です。
期日を迎えても連絡がない。こうした場合は即(翌日の午前中)催促メールを送りましょう。大手人材関連企業が20代のビジネスパーソンを対象におこなった調査によると、「期日を過ぎても2、3日は催促するのを待つ」と考える人が7割以上いるとのことですが、期日を過ぎたらすぐにリマインドするべきです。「期日を1日過ぎたぐらいで催促すると気を悪くされるんじゃないだろうか?」などと考える必要はありません。むしろ時間が経つほど催促はしにくくなります。

催促であってもビジネスメールである以上、文面自体は相手に対して配慮が感じられる表現であるべきです。いきなり「連絡がありませんが、どうなっているのでしょうか?」などといったストレートな表現はNG。基本的には、相手が「うっかり忘れている」ことを想定した表現であれば角が立ちません。例えば、「打ち合わせの日時の件、〇日までにご連絡いただけるようお願いしておりましたが、ご予定はいかがでしょうか?」、「ご多忙のところ誠に恐縮ですが、現在の進捗状況をお知らせいただけますようお願い致します」などと、あくまでも低姿勢で切り出すと良いでしょう。
ただ実際に多忙な相手で、依頼した案件が後回しにされている可能性がある場合は、こちらの事情を具体的かつ丁寧に説明して「遅れては困る」ことを相手に理解してもらえるよう促します。例えば「週末の役員プレゼンで御社に委託した業務の進捗状況を報告する必要がある」など、担当者レベルでは如何ともしようがない事実を明らかにして、相手の当事者意識に揺さぶりをかけることも有効な手段です。

POINT

仕事をスケジュール通りに進めていくためには、その仕事に係わるスタッフ各自(外部ブレーンも含め)に割り当てられたタスクの遂行期日を守ることが大前提になります。ところがしばしば、期日が守られないことがある。こうした時は、催促メールを送り相手の状況を確認することが必要です。お互いの認識の違いが原因で仕事の進捗が遅れている場合などは、そのまま放置していると大きなトラブルに発展することもありますので、できるだけ早いタイミングで催促メールを送りコンセンサスを取るようにしてください。プロジェクトの規模が大きくなるほどスタッフの数も増えます。そうした中、作業の進捗遅れや会議への不参加が1人でもあると全体に影響するため、催促メールは習慣化して活用することも有益です。

ビジネスライター 吉村高廣の視点

過去、繁忙期にストレート過ぎる催促メールを送り、チームのデザイナー(外部スタッフ)をひどく不快にさせてしまった経験があります。結果、そのデザイナーとは突如として音信不通になり、それまで一緒に進めていた仕事も途中で頓挫。急遽新しいデザイナー探しに奔走したことが苦い記憶として刻まれています。ここから学んだ教訓は、催促メールは単なる状況確認や要件の再周知ではなく、相手との信頼関係を構築し、安心して仕事を進めるための"コミュニケーションツール"でもあるということです。適切なタイミングで、相手の気持ちを不快にさせない催促メールを送ると、仕事を円滑に進めることができます。

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■記事公開日:2024/03/27
▼構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼画像素材=Adobe Stock

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