2015年にアイリサーチ社が20代から30代の男女を対象に行った『社会人が身につけたいスキル調査』ではなかなか面白い結果が出ています。
第1位はここ数年の課題となっている『コミュニケーション力』。以前、三鬼商事のビジネスWebマガジン「キープレス」のコラムでも取り上げました。そして第2位が『理解力』。これはどうやら、世代間ギャップによって1つの話題を共有出来ない、その発想が理解不能という側面が強く、1位のコミュニケーション力と密接に関係しているようです。そして第3位にランクインしているのが『自己管理能力』です。
人とのコミュニケーションや、このコラムの第1回目でもご紹介した倫理的思考力と比べると、いささかインパクトに欠ける自己管理能力ですが、仕事をする上で、実はこの力の有無は軽視できるものではありません。そこで今回は、どのようなシーンで自己管理能力が求められるかを考えてみたいと思います。
読んで字のごとく、自分をきちんと管理できる力が自己管理能力です。ただしその領域は、こと仕事となれば多岐にわたります。まず第1に挙げられるのが「時間」です。仮に残業時間を含めても、私たちが仕事で使える時間は無限ではありません。あらゆる事案は限られた時間を有効かつ最大限に活用して、より良い仕事を決められた時間内に行うことが求められます。
第2に「健康」があります。不摂生の挙句、体調を崩してしまっては、仕事で100%の力を発揮することができません。もとより、それが「二日酔いで頭が痛くて...」などいうことになれば本末転倒。常に最大限の力を発揮できるよう健康管理を行うことが大事です。
3番目が「やる気」です。良い仕事をするためにはモチベーションの維持が欠かせません。誰でも経験があることでしょうが、やる気にならない時ほどミスが多く仕事の質も下がるもの。モチベーションの維持は仕事の質につながり、ひいてはその人の評価にもつながっていくのです。
最後にしっかり管理したいのが「ストレス」です。仕事をしている限り全てが順風満帆ということはあり得ません。業務の内容だけでなく、社内外の人間関係などで悩みを抱える人もいるはずです。ストレスと上手につきあう術を身につけることもキャリア形成を行う上での重要な要素になります。
自己管理能力とは「あたりまえのことを、あたりまえにやる」というもので、基本的には心がけ次第で誰でも発揮できる能力です。にもかかわらず、なぜこの力が求められるスキルの上位に位置するのか。それは、自分をコントロールする力が薄らいでいるからに他なりません。事例に挙げた1番、2番はもとより、やる気やストレスにしても、自分の考え方一つで対処の仕方は変わります。そうした立ち位置に自分を置くためには、公私の境を明確にすることが何よりです。仕事を離れた時には趣味やスポーツなど、自分がとことん打ちこめるものを探して、ONとOFFの切り替えを上手に行うことが何より有効な手段です。
居酒屋で酒を飲みながら上司の愚痴をポロポロこぼす...。とかくマイナスなイメージで語られがちのサラリーマンの姿ですが、それでストレスが発散できるなら大いに結構なことだと思います。ただ、そこから深酒にはまり込んで翌日に悪影響を及ぼすのは、自己管理ができない最悪のモデルと言えるでしょう。時間が守れて、体調を崩さずやる気に満ちている。そしてストレスに負けないあなたであれば、何をしても結構。皆さんは、どのように公私を分けますか?