ここ数年やたらと「グローバル化」という言葉が使われ始め、にわかに「英語ができない人は仕事もできない」といった風潮が強まりつつあります。それを裏付けるように、英語を話せない社員のために講師を呼んで強制的に学習機会を与えたり、英語を社内の公用語とする企業も増えています。
一方で「それは大企業の話であってうちのような中小企業には関係ない」と一刀両断する人も少なくありません。果たして日本のビジネスパーソンにとって英語力の有無はどのくらい影響するのか。この先英語力は無くてはならないものなのか。今回はそのあたりを考えてみたいと思います。
結論から先に述べてしまえば、ビジネスが国内マーケットのみで展開されているならば、あえて英語力の有無を問う必要はないでしょう。しかし、仕入れ先や販売先の関係で、わずかなりとも海外と接点がある(あるいは今後あり得る)のなら英語力がないことはビジネス上必ず障害になります。
また、2020年にオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることから、他国の人々との交流こそが競争のアドバンテージとなり、英語でコミュニケーションが取れないことは日本語が話せないのと同じようなハンディキャップになる可能性もあります。そこで今注目したいのがTOEICへのチャレンジです。
TOEICとは、英語を母語としない人のための「国際コミュ二ケーション英語能力テスト」のこと。「上場企業における英語活用実態調査 2013年」の報告書によれば、上場企業のうち約30%の会社が新卒採用時にTOEICのスコアを採用条件にしており、約40%の会社で参考にすると答えています。
スコア別の目安は次の通り。Aランク(860点以上/ネイティブの議論を理解できる)、Bランク(730点-855点/適切なコミュニケーションができる素地を備えている)、Cランク(470点-725点/日常会話と限定された業務上のコミュニケーションができる)、Dランク(220点-465点/最低限のコミュニケーションができる)、Eランク(220点未満/コミュニケーションがまるでできない)となっており、日本人ビジネスパーソンの平均スコアは「Dランク」。残念ながらそれではビジネスでは使い物になりませんね。
英語力の習得に力を入れる企業で求められるのは「Bランク」以上だといいます。せっかくTOEICにチャレンジするならここを目標に学習することは悪いことではありません。しかしながらそのハードルは極めて高く、まさしく「英語の素地」を備えていなければ困難と考えて良いでしょう。現実的な目標としては、まず「Cランク」を目標として学ぶことが良いとも言われています。いずれにしても、これからの時代は、活躍し続けるビジネスパーソンの条件には「英語力」が上位に来ることは間違いありません。そしてその力の獲得はビジネスのフィールドのみならず、自分の視野を広げてくれることにも役立つはずです。
何を隠そう、私自身3年ほど前にTOEICのテストを受けたことがあるのす。お粗末な結果でしたのでスコアは公表いたしませんが、あまりに情けなくて、そこからしばらく英語の学習に励んだ時期がありました。結局のところ「自己キャリア」というのはそのようにして積み上げて行くものではないでしょうか。前進するエンジンは「こんなはずじゃない」という満たされない思いがあってこそ全開するものなのです。