
資格は身を助ける。この言葉が頻繁に使われるようになったのは1980年代のバブル崩壊以降のこと。原因は不安定な社会情勢です。それ以前の資格は、主に一部の専門職に就く人のためのもので、資格の数も限られていました。ところが今は、日本国内で取得できる資格の数も5000以上といわれ、その数は年々増えています。
こうした雨後のタケノコ状態の資格市場においては"本当に役立つ資格"を選ぶのは至難のワザ。確かなナビゲーターが必要です。そこで、自らが600以上もの資格を持ち、All About「資格」ガイドとしても活躍している資格王・鈴木秀明さんがお勧めする「これからのビジネスパーソンに必要な資格」をシリーズで紹介します。

自分の強みやスキルを客観的な評価で示して、仕事の潤滑剤にしたり、キャリアアップの武器にしようというのが、資格に対する一般的な考え方です。そのために有用な資格は、難関国家資格のようにハードルの高いものから、これまでにもご紹介してきた「公認モチベーション・マネジャー資格」や「メンタルヘルス・マネジメント検定」などのように、比較的手軽に自分のパーソナリティを主張できる民間の資格・検定まで多数あります。
そしてさらには、「実は私、こう見えて世界遺産検定1級を持っていまして...」などというように、その人の趣味や特技に紐づいた意外な一面をアピールして"キャラ付け効果"を狙える資格・検定があります。実は今、この分野の検定試験が急増しており、新しいコミュニケーションツールとしてビジネスパーソンから注目を浴びています。そこで今回は、直接的に仕事に役立つスキルを高めるものではないけれど、あなたの印象を変える『キャラ付け資格・検定』をご紹介します。
ぜひ満点を目指したい!
日本ビール検定
日本酒検定、焼酎検定、ワイン検定など、お酒にはそれぞれに"検定"がありますが、受験者層の裾野が広く、学習意欲がわくご褒美があるのが『日本ビール検定(愛称「びあけん」)』です。この検定は、一般社団法人日本ビール文化研究会の主催により毎年1回開催されているもので、昨年の第7回試験までに、全国で約24,000名が受検し、そのうち約13,000名が合格しています。また、検定の合格者には、認定カードや名刺、記念品など、自尊心をくすぐるアイテムも用意されています。20歳以上であれば性別や世代を問わず誰でも受験可能。さらに、 各級の満点合格者には、日本ビール文化研究会が選定したビールが1年分進呈されるというご褒美つきです。(該当者が複数いる場合は山分け)
日本ビール検定公式サイト:
http://www.beerken.com/
ご当地検定No.1はコレ!
京都検定
地域の活性化や観光振興を目的として、全国各地の自治体や商工会議所などが実施する「ご当地検定」。中でも一躍注目を浴びて、ブームのけん引役となってきたのが『京都検定(京都・観光文化検定)』です。
検定は、3級、2級、1級の3つにランク分けされていて、出題される問題の難易度も大きく異なります。京都産業大学では京都の活性化に貢献するため、1級合格者を"日本文化研究所の特別客員研究員"として迎え入れているほどで、地域振興を目的とするご当地検定のなかでもステータスの高い検定になっています。また、年々インバウンドの外国人旅行客が増え続けている京都では、"おもてなしビジネス"に直接役立つ検定として多業種の方々が、毎年数多くチャレンジしています。
京都検定公式サイト:
https://www.kyotokentei.ne.jp/
生態から法律まで。大人気!
ねこ検定
空前のねこブームにあやかって、人気沸騰なのが『ねこ検定』です。この検定の目的は、「広くねこの知識を楽しく学んでいただき、人とねこがもっと幸せになれる社会を目指す」という、ねこ好きの小さな願いから始まったものでした。ところが、ねこブームが加速するに従って、多種多様な目的で幅広い年齢層の方々が受験するようになり、今ではねこの法律問題まで扱うそうです。
検定のランクは、ねこに関する基本知識を習得する"ねこのパートナーレベル"の初級、人に対して的確なアドバイスができる"スペシャリストレベル"の中級、知識を活かした地域活動や、ねこに関する職業を目指すのに相応しい"ねこマスターレベル"の上級が設けられています。合格者特典で得られる"名刺"を持っていれば、初級であってもかなりインパクトのあるキャラ付けになることは間違いありません!
ねこ検定公式サイト:
https://www.kentei-uketsuke.com/neko/

資格取得や検定試験の合格を目指すためには、少なからず試験勉強をしなければなりません。しかしながら、目の前の仕事をする上で不可欠な資格の取得については、半ば"義務感"がつきまとい、つらい勉強をイメージしがちです。そのせいで資格取得や新しい分野の学びに対して二の足を踏んでしまうケースも少なくありません。
一方、今回ご紹介した、自分の興味の延長線上にあるキャラ付け資格や検定なら、テキストに向き合う気持ちも違うはずです。そこで一度成功体験を味わえば、ほかのジャンルでも次々と新しい資格や検定にチャレンジしてみたくなり、ひいてはそれが"教養" となって、ビジネスパーソンとしての懐の深さや、人間性に厚みを与える場合もある。キャラ付け資格・検定へのチャレンジには、そんな付加価値を手にする可能性もあるのです。
■記事公開日:2019/09/20 ■記事取材日: 2019/09/07 *記事内容は取材当日の情報です
▼構成=編集部 ▼監修=鈴木秀明