テレビCMでお馴染みのスキマバイトのマッチングサービス「Timee」を提供する株式会社タイミー。2018年8月にアプリをリリースしてからの急成長は目覚ましく、今尚、その勢いが止まらない日本で最も成長しているスタートアップ企業の1つです。そんなタイミーが、昨年(2020年)7月に旧豊島区役所本庁舎跡地に新設された超高層の複合オフィスビルHareza Tower(ハレザタワー)27階に本社オフィスを移転。
コロナ禍の真っ只中におこなわれた新進ベンチャーの大型移転とあって注目を浴びました。今回はその新オフィスにお邪魔して、コーポレート本部の小河智哉さんにご案内していただきました。
圧巻!間仕切りのない200坪の大空間
新オフィスの執務エリアは広さ約200坪。これだけの大空間に間仕切りを一切設けずフロア全体が見通せるオープンスペースとして、西側の一角には、約140人のスタッフが仕事ができるデスクゾーンが広がっています。服装や髪形に規制を設けない会社はこれまでにもお邪魔してきましたが、タイミーのオフィスには異質な空気感を感じました。その理由は、スタッフの平均年齢27.5歳という圧倒的な若さです。明るくて、勢いがあり、フリーアドレスを採用しているため座席に縛りがなく、好きなところでのびのびと仕事をするスタッフの姿がとても新鮮でした。
ワークスタイルは1つじゃなくていい
オフィスの南側には、全面窓から東京の街を見晴らすようにして、ソファースペース、ハイデスクや個室型ワークブースが置かれた個人集中スペース、靴を脱いでくつろぎながら仕事ができるリラックススペースといったタイプの異なるワークスペースが設けられています。フリーアドレスをバックボーンに、個々人がそれぞれにフィットした働き方を選択できるようなオフィス設計になっています。
タイミーでは「一人一人の時間を豊かに」を会社のビジョンに掲げていて、オフィスもそれを具現化するものの1つだそうです。人それぞれで働きやすさには違いがあって当然で、リラックスできる場所が好きな人もいれば、一人で集中した方が仕事が捗るという人もいます。
しかしながら常にそうとは限らない。普段はリラックス空間で仕事をしていても、一人で集中したい時はあるはず。またその逆も然りです。そこまで考えて、異なるワークスタイルを用意して、スタッフが選択できるよう計画したことが、このオフィス最大の魅力。ひと頃言われた"社員ファーストで伸びる会社"のお手本のようなオフィスでした。
レガシーがあり、オアシスもある
オフィス中央にぽつんと置かれた卓球台は、前々回のオフィス移転時(水道橋オフィスへの移転)に株主からいただいたものだそうです。普段は打ち合わせやワークスペースとして使われており、たまに本来(卓球)の使われ方をすることもあるのだとか。オフィスの移転祝いに"卓球台"という発想はなかなか思い浮かぶものではありませんが、若い会社ならではのステークホルダーとの関係性を表している"レガシー"とも言えるでしょう。
東側の観葉植物で囲われたエリアはカフェスペースと位置づけられ、スタッフが食事を摂ったり、軽い打ち合わせをしたり、ワークスペースとしても利用されています。一般的なオフィスの場合、エントランスや執務エリアの随所に緑が配置されているものですが、タイミーの場合、緑を配しているのはこのスペースとソファースペースの目隠しだけ。そんな希少性がカフェスペースの存在を却って際立たせ、広大な砂漠の中にある"オアシス"といった風情を醸し出していました。
緊急事態宣言で、オフィスがあるからこそ
仕事のしやすさを享受していたのだと痛感しました。
株式会社タイミー コーポレート本部 小河智哉さん
オフィスだからコミュニケーションの質が高まる
私たちがオフィスに求めるものはスタッフ同士の良好なコミュニケーションです。昨年、コロナが拡大し始めた頃よく耳にしたのが「オフィス不要論」でした。しかしそれはどうでしょう。モニター越しにリモートで向き合うのと、オフィスで直に顔を合わせるのとではコミュニケーションの質が違いますし、"熱量の伝播"も違います。したがって弊社は、コロナ禍という誰も経験したことがない状況下にあっても、全てのスタッフがより快適で、安全・安心なオフィスライフを享受できる大空間への移転を実行しました。
会社に行かずともリモートで仕事をした方が「通勤のストレスもなくて効率的だ」という人がいます。しかしながらタイミーで働いているスタッフは、ベーシックなところで「自分たちのミッションを実現させるために、皆で一丸となって頑張る」という気持ちを共有しているので、むしろ、集まることで仕事をした方が効率的だし効果的でもあるという"仕事の本質"のような部分を理解しています。そんな気持ちに報い、会社の成長を加速させるためにも、弊社は"働き易いオフィスづくり"にこだわりました。
緊急事態宣言でオフィスの大事さを改めて実感
昨年、1回目の緊急事態宣言が出た時は、ロックダウンに近い状態で当社も原則出社禁止になって、1か月余りリモートワークを強いられました。その時、会社のスタッフと対面でのコミュニケーションをとれないことが、こんなにも不安になるものなのかと実感しました。気軽に話ができないことの不合理をあの時ほど切実に感じたことはなく、オフィスがあるからこそ仕事のしやすさを享受していたのだと痛感しました。オフィスがあるからコミュニケーションが生まれ、安心して働くことができ、それが会社の成長には重要なものだったということを再認識された経営者の方は少なくないと思います。
しかし同時に、世界中がネガティブな状況に追い込まれる中、タイミーは、その状況にポジティブに立ち向かってゆける組織であることも確信しました。逆風に晒されて立ち止まってしまうこともあると思いますが、そうした状況の中でも自分たちのミッション達成のために何をすればいいかを考えて、成果を求め、ポジティブに仕事に取り組めたことは良い経験でした。組織としても強くなれる試練だったと思います。