小松ウオール工業株式会社は、石川県小松市に本社を置くパーティション(間仕切り)の開発・設計・製造・販売・施工をワンストップでおこなうリーディングカンパニーです。オフィスや商業施設、学校、病院などに「快適空間」を提供することを目指しており、さまざまな場所に対応した間仕切り製品は高い評価を得ています。そのリアルなエキシビションスペースとなるのが、東京と大阪、そして昨年9月1日に名古屋駅前のミッドランドスクエア15階にオープンしたShow Move Hub Nagoyaの3拠点(ライブオフィス)です。今回は、小松ウオール工業の事業ドメインである「移動間仕切」の変化と魅力が体感できるShow Move Hub Nagoyaを、名古屋第一支店長の西海隆弘さんに案内していただきました。
1.ムーブオフィス「働く様子そのものが製品説明になる」
小松ウオール工業では、オフィスや会議場などの空間を自由に仕切ることができる移動間仕切、一般建築物から公共施設などで使用される可動間仕切、バリアフリーやユニバーサルデザインを考慮した軽量ドア、安全性、快適性に配慮した学校用間仕切、オフィスを快適に演出するローパーティションなど、さまざまな空間、それぞれのシーン特性に合わせて「パーティションの最適解」を提供しています。
ここShow Move Hub Nagoyaは、「移動間仕切」に特化したライブオフィスです。自社開発したパーティションを実際に使用して、その様子を来訪者に見せることで小松ウオールが提唱する「移動する壁」の魅力をリアルに実感できる・・・まさしく、日々ここで働く社員たちの様子そのものが、そのまま製品説明になる空間づくりが成されています。
空間デザインを手掛けた小堀哲夫氏(小堀哲夫建築設計事務所)は、「角地に位置するこの場所に初めて訪れたとき、名古屋の景色がパノラマに広がり、同時にランニングウォールを空間でパラパラと移動させたら面白いのではないかと思った。また、中心から全体を見通すことができるようにすると、空間に奥行きと広がりが生まれ、さまざまな働き方が見えるのではないかと思った」とおっしゃいます。
社員が増えたり新たなプロジェクトが立ち上がったり、状況に応じて変化が求められるオフィスレイアウトを、大掛かりな工事や時間を必要とせず、スムーズな操作で実現できるランニングウォールの可能性を実感できるエリアです。
Show Move Hub Nagoyaのリアルを動画でご覧ください
扇形のムーブオフィスに配置された、さまざまな種類のランニングウォールによるフレキシブルな変化を体感して頂けます。また、最新の製品や開発中の製品などを展示するトライアルエリアも設けており、間仕切りの可能性を感じることのできる空間となっています。
2.ワークスペース「空間をゆるやかに仕切り多彩なスペースづくり」
名古屋のランドマークとして市内西部を見渡すパノラマビューが広がる窓側エリアに位置するワークスペースには、オフィスのモードに合わせてパネル面(ピンナップボード、マーカーボード)が自在に付け替え可能なパーティション「corocoro(コロコロ)」などのアジャイルな製品を配置。空間をゆるやかに仕切って視線を遮り、大小さまざまなワークスペースやコラボレーションスペースをスピーディに作り上げることができる仕様になっていました。
また、昇降デスクやキャスターストレージ(移動式収納)などを要所に用いて、社員の望む働き方や向き合う仕事のシチュエーションに応じて、多様化するワークスタイルをフレキシブルにサポートしています。
3.ミーティングルーム「意匠性の高い防音対策を実現」
ミーティングの最中、外のノイズが聴こえてくれば話し合いに集中できなくなります。逆もまた然りで、情報漏洩の危険性も無視できません。特に人の出入り口は隙間が生まれやすく、これまでは「デザイン性を考えれば引き戸が良いが、遮音性が確保しにくいため採用を見送る」というケースが多々ありました。こうした防音対策の問題点を、小松ウオール工業はデザイン性と遮音性を兼ねた「マイティスマートレール」に、ダブルガラスパーティションとセミエアタイトの引き戸を用いることで解消。意匠性の高い防音対策で、使い勝手の良いミーティングルームを構築しました。
ミーティングルームを出てエントランスに向かう側面にはシンプルなスチール壁(オープンシャットウォール)が続きます。実はこの一部が『点検扉』になっており、小松ウオール工業では個人ロッカーや備品置き場が設けられています。オープンシャトウォールは壁と扉がコラボした非常に美しい仕上がりの壁面化粧パネルで、シンプルさと機能性が魅力です。スチールパネルを使用しているため寸法や表面色の自由度が高く、スリットキーの採用でロック部分も目立ちません。
4.トライアルエリア「チャレンジングな小松マインドが凝縮」
お客さまのオーダーメイドに応えたい。トライアルエリアはそんな小松ウオール工業のマインドを体現したチャレンジングな試作展示エリアです。
個々の製品提案のみならず、洗練されたデザインと強度のある二重構造でさまざまな用途に対応できる「ダブルガラスドア」を採用した個室ブースや、エリア奥のスチールパーティションの向こうには、茶室をイメージした小会議室を設えるなど、実物を用いたスペース提案まで、小松ウオール工業の"チャレンジ"を知ることができます。西海さん曰く「おそらく、次にいらした時には違ったものが展示されていますよ」とのことでした。
現状に疑問を持って改善していくことが、より良いオフィスづくりの土台になる。
小松ウオール工業株式会社 名古屋第一支店長 西海隆弘さま
ライブオフィスは、実際に社員が働いているオフィスをショールームとして公開するスタイルのオフィスです。お客さまにとってはリアルタイムに業務の様子を見学できるため、製品の利便性や効率性を体感しやすく、新しい働き方やオフィスレイアウトを具体的にイメージしやすいというメリットがあります。
しかしながら、ライブオフィス化するということは、社員は常にお客さまに意識を払いながら仕事をするということであり、営業だけでなく、設計、事務、経理などの内務の社員も緊張感の高い状況が続きます。そのため、緑視率を高めたり(緑視率が高いとコルチゾールというストレスホルモンの分泌を抑える効果が期待できる)、視線のコントロール(不定期なオフィス什器のレイアウト変更)をおこなってストレスが軽減できるよう努めています。
また、お客さまがいることで社員のプライバシーが侵害されないよう対策することも必要です。例えば、見学・体験エリア(ムーブオフィス)と業務エリア(ワークスペース)とをcorocoroのようなパーティションで緩やかにすみ分けて外からの目を遮るなど、厳密な線引きではないにしろ、一定のプライバシーは保つことができて人目を気にせず仕事ができる工夫は必要です。当然ながら機密情報の漏洩リスク対策も欠かせません。
このように、負担や制約が多く感じられるライブオフィスでの勤務ですが、ビジネス環境は日々変化しています。それに伴い、オフィスの在り方や働き方も当然変化していくものと思われます。事業の生産性を高めて、競争力と創造性を維持し続けるための「職場」は、従来の「オフィス」の定義に収まらなくなっていくことでしょう。いろんな考えの人が集い、経験を拡張し、新たなアイディアが生まれる場になっていくことは間違いありません。移動間仕切はそれを実現させるためのアイテムであり、Show Move Hub Nagoyaはそうした働き方の"実験の場"でもあるのです。
コロナ禍を経て私たちは、「オフィスとはこうあるべき」といった"当たり前"を疑い、恐れずに変化していくことの大事さを知りました。
それは次々と登場する新しいモノやコトを無条件に善とすることではなく、「現状に満足せず、疑問を持って改善していくこと」がより良い環境づくりのボトムになる。そのためには、まずは私たちのオフィスがチャレンジできるような"場所"でなくてはならない。その結果、やってみて上手くいけば継続すればいいし、合わなければトライ・アンド・エラーを繰り返して、自分たちの体験としてお客さまに自信を持ってお話しができるライブオフィスになればいい。私はそのように考えています。